物流危機#14Photo:123RF

宅配の「ラストワンマイル」の担い手不足が叫ばれる中、海外では認められている自家用車の活用を日本IT団体連盟などが求めている。賛成派は理詰めで迫るが、国土交通省は慎重な態度だ。特集『物流危機』(全14回)の最終回では、自家用車活用の解禁を巡るバトルをレポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

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日本IT団体連盟が提案
「ラストワンマイルの規制改革」

「既存の物流業界側から見ても、白ナンバーの物流参画を解禁すべきだと思う。物流危機はもう待ったなしの状況なのだから」と、ある中堅物流会社幹部は語る。

 白ナンバーとは、プライベートで使う自家用車に付けられているナンバープレートのこと。軽自動車の場合は原則、黄色ナンバー。これらが有償運送の車両に変わるとそれぞれ緑ナンバー、黒ナンバーとなるが、国の許認可を受けなければならず一定のハードルとなっている。

 配送需要の急増、ドライバー不足などを背景に、日本IT団体連盟(IT連、会長はZホールディングスの川邊健太郎社長)は自家用車(白ナンバーか黄色ナンバー)でラストワンマイル(最終拠点から消費者の家までの区間)を配送できるように規制緩和を求めている。新経済連盟(代表理事は楽天グループの三木谷浩史会長兼社長)もラストワンマイル配送の円滑化を要望している。

 海外では個人が自家用車を用い、通勤時や空き時間に短距離、少量の荷物を配送できる国が幾つもある。

 軽貨物、バイク、自転車の配送プラットフォーム「ダイヤク」の担当者は「郊外のスーパーマーケットから『自家用車で訪れた買い物客が帰路に宅配することはできないのか』といった相談が以前からある。地方のクルマ社会の買い物難民、買い物弱者にとっては深刻な課題」と話す。

 なぜ日本では解禁されないのか。どこが抵抗勢力になっているのか。