企業の工場が集まっていた“製造業の街”が物流施設の中心地に姿を変えている。2月には森永乳業が東京にある工場跡地を物流施設用地として売却することを明らかにした。開発業者の間では、次なるターゲットの名も挙がっている。特集『物流危機』(全14回)の#13では、物流施設開発と工場跡地売却の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
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森永乳業は売却益650億円
工場跡地は今のうちが売り時
乳製品大手の森永乳業は2月、東京都葛飾区にある東京工場跡地を売却すると発表した。約6万7000平方メートルの敷地を購入するのは、賃貸用物流施設の開発を目的に組成された特定目的会社(SPC)だ。
メーカーの海外生産比率が高まるなどして、かなり前から多くの国内工場が閉鎖されてきた。跡地が物流施設に代わるというのはすでによくあるパターンだ。
それに拍車を掛けたのがコロナ禍。巣ごもり消費でインターネット通販が拡大し、物流施設の需要が大幅に増えた。また、ホテルや商業施設、オフィスビルの開発が厳しさを見せる中で、投資マネーが物流不動産に流れ込んだ。
開発に過熱感が見える中、工場跡地は今のうちが売り時とも見える。森永乳業は売却益650億円を見込む。それを上回る高値で売却したということだ。
物流施設開発は新規のプレーヤーも参入して、なお用地の争奪戦を繰り広げている。開発業者にとって、工場跡地は草刈り場。彼らの間では、次にターゲットとなる工場の名も飛び交う。
次ページでは、開発業者の間で名が挙がる次なるターゲットを明らかにするとともに、今後の動向を見通す。