セールスポイントの見極めにたけているアップル
Apple Watchにも同じことがいえる。ジョブズは既に他界しており、初代モデルは、まずデジタル時代のファッションアイテムとしてマーケティングされた。この切り口は、当時の最高デザイン責任者で、自身もウオッチコレクターのジョナサン・アイブが主体となって策定されたものと考えられる。
まだ今のようには機能面で充実しておらず、コストパフォーマンスの点で相対的に高価でもあったことや、ウエアラブルデバイスの認知度が低い中で、まずアーリーアダプター層に購入してもらうには、そのようなアピールの仕方が必要だったわけだ。
しかし、モデルチェンジごとにヘルスケアとフィットネスツールとしての機能を強化して全面的にアピールするようになり、スマートウオッチや体活動量計の代名詞としての地位を確立したのである。当初のファッションアイテムとしてのマーケティングに失敗したので、方向転換したと見る向きもあるが、振り返ってみると、生産の立ち上げや改良点の洗い出しのために初代モデルをそのような形で世に送り出し、実用性が上がったところでティム・クック肝煎りのヘルスケア戦略に組み込まれたと考えるほうが理にかなっているように思う。
いずれにしても、機能とともに性能が向上したApple Watchは、ビジネス分野でもさまざまなポテンシャルを秘めている。続いて、そのあたりを見ていこう。