航空需要、特に国際線の回復には相当の時間がかかる可能性もある。京成が2020年10月から空港特急スカイライナーの車両を用いた北総線「臨時ライナー」を運行しているように、既存設備を遊休化させずに新しい需要を開拓する必要があるだろう。

 ただ第3四半期(10月~12月)の営業成績だけ見れば、昨年度は東武、阪急・阪神HD、名鉄以外の全社が営業赤字だったのに対し、今年度は京急、京成、相鉄、南海以外は営業黒字で、この4社も京急の約11億円の営業赤字が最大だ。

 それでは劇的に利用者が回復したのかというと、そういうわけでもない。輸送人員や旅客運輸収入は昨年度同期の数%からせいぜい1割程度の増加にすぎない。この1年間で様々な経費削減が進み、利用者が少なくとも利益が生まれる体質に変わりつつあることが分かる。

 そしてもうひとつ各社の収支を改善させた大きな要因がレジャー部門の回復だ。昨年度第3四半期決算では近鉄GHD(約429億円)、西武HD(約413億円)、東急(約230億円)、阪急・阪神HD(約226億円)など、計9社が100億円以上の営業赤字を計上したが、今年度100億円を超えたのは西武HD(約226億円)、近鉄(約187億円)、東急(約121億円)、京王(約102億円)の4社のみで、額も減っている。

 まだまだ厳しい状況に変わりはなく、事業統廃合や再編は続きそうだが、第3四半期(10月~12月)に限れば東武(約37億円)、阪急・阪神(約5億円)、名鉄(約3億円)など黒字転換した事業者もある。レジャー部門も利用者が少なくても利益が出る体質に変わることができるのか注目したい。

 2020年1月から始まったコロナ禍は2021年12月で2年となった。このまま過ぎ去るのかと思った矢先に第6波が訪れたように、まだまだ収束の道筋は立っていない。それでも鉄道事業の底は見えてきたようにも思える。明けない夜はないと信じて、もうしばらく耐え忍ぶしかないのだろう。