「新型コロナに関する情報は日々更新されていて、今は正しいとされている説が後日、覆る場合もある。このように情報の真偽が定まりきらないときは陰謀論を主張しやすいのです。陰謀論が“真実”だと証明するのは難しいですが、“虚偽”だと証明するのも難しい状況ですからね」(土田氏、以下同)

 さらにコロナ禍で外出自粛が求められ、インターネットに触れる時間・人が増えている点も、陰謀論の拡散を手助けしている。ステイホームを機にネット利用が増えた人や、初めてSNSに触れた人のネットリテラシーは、それほど高くない。そうした人々はネットで陰謀めいた情報を目にしたとき、あまり疑わずに真に受けてしまうのだという。

「ネットは自分の知りたい情報のみをピンポイントで検索しますし、コンピューターが学習して検索履歴とひも付いた情報をピックアップして表示してきます。陰謀論に興味を持って調べていけば、自然と関連情報ばかりが手に入るようになるわけです。ネットに不慣れな人ほど『これだけ陰謀論が出てくるのは、皆が信じているからだ』と勘違いしやすいのでしょう」

 この「皆が信じているから」という心理は、真実かどうかが分からない情報においては、その説が本当であると説得力を持たせる要素になるそうだ。

「驚くべきことに、うわさにとっての『皆』は、2人で十分。たとえば、会社の同僚と、地元の旧友からまったく同じ陰謀論を聞くと、『これは皆が知っていて、世界的に広まっている話なんだ』と錯覚してしまうのです」