「ウイルスや菌を除去する」というエビデンスを掲げて「空間除菌」をうたう商品は多いが、新型コロナウイルス感染拡大により次亜塩素酸などニューフェースも登場し、業界は百花繚乱だ。しかしメーカーが出している空間除菌のエビデンスにはカラクリがあり、健康被害が出る恐れのある商品も存在するという。特集『免疫力の嘘』(全13回)の#6では、メーカーが商品の効果の根拠とする、エビデンスの信頼度を見抜く方法を伝授する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
手洗いなどの原始的な感染対策にうんざり
空間除菌は“科学”の香りがする?
「空気中のウイルス・菌対策に!」
毎年風邪やインフルエンザの時期になると、このようなポップが付いた「空間除菌」と称する商品がドラッグストアの店頭に並ぶ。
商品の説明書やメーカーのホームページによると、空気中をふわふわ舞っているウイルスや菌に、商品が放出する二酸化塩素という物質が反応することで、ウイルスや菌を死滅(ウイルスは不活性化)させることができるのだという。
この類いの商品には、設置型の他、首から下げる携帯用のものも展開されている。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した後、街でも空間除菌の商品を首から下げた人を頻繁に見掛けるようになった。
確かに、メーカーのイメージ図だけを見ていると、周囲の空間に無数に存在する新型コロナウイルスが、この商品で一掃されるのではないかと、期待が膨らむ。しかも「二酸化塩素」というのも魅力的な響きだ。手洗いやマスクなどの原始的な感染対策と異なり、何だか“科学”の香りがする。メーカーのホームページには、商品の効果を検証した英語の論文も豊富に掲載されていて、“エビデンス”もありそうだ。
さて、空間除菌はどれくらいすごいのか。医師と一緒にそのエビデンスをひもといていくことにしよう。