パッとしないロシア産自動車、プーチンの「仮想敵」とは

 1997年、エリツィン大統領(当時)はラジオで「国産車は質が悪く故障も多い」(読売新聞1997年4月16日)と愚痴ったのち、「国内産業保護という大事業の第一歩」として「政府公用車を国産車に限定する」と宣言をした。それだけロシア人にとって国産車は不評だった。

 それはバトンを受けついだプーチン大統領もいまだに変えることができない。2009年には国内最大手の自動車メーカー、アフトワズに250億ルーブル(当時の日本円換算で約727億円)を無利子で融資するなど、「国産車保護」に乗り出した。しかし、アフトワズ自体が2014年にルノー・日産の傘下に下るなど、今日にいたるまでパッとしない。

 そこでプーチン大統領自ら指揮をとって始まったのが、「国産高級車プロジェクト」である。

「アウルス セナート」を乗り回して世界中でお披露目をしてから昨年5月、いよいよ世界市場を目指した量産体制が出来上がった。当然、プーチン大統領の鼻息は荒くなる。

<5月末から年間最大5000台の量産態勢が整い、世界の大富豪に売り込む。プーチン氏は量産化式典で「国際市場でロシア車の存在感が高まる」と語り、外国の高級車に対するライバル心をにじませた>(東京新聞21年6月21日)

 では、プーチン大統領が仮想敵としてにらむ「外国の高級車」とはどこのメーカーか。もうお分かりだろう、トヨタの「レクサス」である。