名古屋大激変#10Photo by Akira Yamamoto

中日ドラゴンズの落合博満元監督の実像を描いたスポーツノンフィクションの『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』が、異例のヒットを飛ばしている。名将のリーダー論を描いた本作は、中日ファンのみならずビジネスパーソンの心もつかんだ。特集『名古屋大激変! 教育・マンション・産業』(全10回)の最終回となる#10では、著者の鈴木忠平さんに執筆の背景を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

中日ファンに加えビジネスパーソンにもヒット!
落合博満元監督に迫ったノンフィクション

――著書の『嫌われた監督』が12万8000部を突破し、大ヒットを飛ばしています。

 正直ここまでヒットするとは予想していませんでした。刺さる人に刺さればいいなと思っていたくらいで、世の中の落合さんへの潜在的な関心にちょっと驚いています。

 編集者の方に聞いて意外だったのが、実はビジネス本としても読まれていることでした。自分では、落合さんを巡る物語を書いたつもりだったので(笑)。

――落合さんが中日ドラゴンズの監督を務めたのは2004~11年のことです。なぜ今、落合さんについて執筆したのですか。

 僕も当初、落合さんについて今描く必要があるのか疑問でした。でも、書籍の基となる連載を「週刊文春」で開始するとき、当時の編集長から「ガバナンスやリーダー像が揺らいでいる。きれい事ばかり言う人ではなくて、嫌われてでも本音を言える偽悪的なリーダー像を読んでみたい。それには落合さんが適任なんです」と説明を受けて、腑に落ちました。

 その後、編集者の方が「嫌われた監督」というタイトルを考えてくれたのですが、それを見て、「これなら書けそうだ」という内容のイメージも膨らみました。

――落合さんは、本当に嫌われていたのでしょうか。