混迷ウクライナ#14撮影/佐久間ナオヒト

混迷が続くウクライナ情勢。ウクライナで、そして世界で今何が起こっているのか。特集『混迷ウクライナ』の#14ではジャーナリストの池上彰氏が、「ロシアの狙い」について分かりやすく解説。激変する国際情勢が5分で理解できる内容だ。(構成/ダイヤモンド編集部)

ウクライナ侵攻を理解するには
「ロシアの論理」を知る必要がある

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、決して許されることではありません。このような事態がなぜ起こってしまったのか。背景を理解するには、ロシアという国の内在的な論理を知ることから始めましょう。

 ロシアは国境線が非常に長い国です。このため、どこから攻められるか分からないという恐怖心を強烈に抱いています。

 実際に歴史を振り返っても、帝政ロシア時代にはナポレオンの遠征を受けました。またソビエトができたばかりの頃には、革命に対する干渉戦争という形で、日本もシベリアに出兵しています。第2次世界大戦ではドイツ軍の侵略を受け、旧ソ連には2600万人以上の犠牲者が出ました。

 こういう歴史のトラウマがあるため、ロシアは常に不安で仕方がない。他国から攻め込まれる事態を想定して、自国の周辺に緩衝地帯をつくりたいと考えています。