JFAの大きな収入源として「代表関連事業収益」がある。日本代表戦のホーム開催に伴う収益で、国際親善試合の場合、チケット販売やスタジアム内外でのグッズ販売、テレビ放映権などの合計で、1試合当たり5億円の売り上げがあったとされる。

 しかし、コロナ禍に見舞われた2020年は、国際親善試合どころか公式戦となるワールドカップ予選も国内で開催できなかった。メンバーをヨーロッパ組だけに限定した上で、10月と11月にヨーロッパで国際親善試合を何とか4試合実施した。

 昨年は国内での国際親善試合が3つ組まれたが、6月3日に予定されていたジャマイカ代表戦(札幌ドーム)はPCR検査の陰性証明提出を巡る手違いで、一部ジャマイカ選手団の来日が間に合わないトラブルが発生。直前で開催中止が決まった。

 代替として行われたU‐24代表との“兄弟マッチ”、そしてドラガン・ストイコビッチ監督に率いられた6月11日のセルビア代表戦(ノエビアスタジアム神戸)は無観客開催。3月25日の韓国代表戦(日産スタジアム)では観客数の上限が設定された。

 同じく国内で昨年に6試合が行われたワールドカップ予選も、無観客もしくは上限を課せられての開催となった。営利企業の損益計算書で当期純利益に当たる「当期一般正味財産増減額」で、JFAは21年度に28億円を上回る赤字を計上している。

 16年度に約11億円の黒字だったJFAの当期一般正味財産増減額は、18年度から赤字に転落している。約2億4500万円から19年度は約6億1000万円、20年度では約8億2000万円と年々増え、ついに21年度の数字にまで膨らんだ。

 さらに22年度予算では、赤字額が過去最大の約46億円と見込まれている。4年に一度のワールドカップイヤーだが、上半期に国内で開催される代表戦は観客数を収容人員の50%で算出せざるを得なかった。もちろんコロナ禍が考慮されたものだ。