デロイトとEYによるビッグ4同士の構図で「引き抜き」を巡って法廷闘争が勃発するなど、コンサル業界の人材争奪戦は苛烈を極めている。アクセンチュアやビッグ4が数千人単位の人員増を掲げて急膨張を図る中、“草刈り場”の様相を呈しているのが国内系コンサルだ。特集『勝ち組に死角!コンサル大乱戦』の#11では、採用バブルの陰に横たわる業界の岩盤序列の実態を、ビッグ4の一角が絡む引き抜きエピソードと共に明かす。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
アクセンチュアは7年で4倍に
引き抜き激化が引き起こした「悲哀」
「各社がタレントを取り合う引き抜き合いが実際に起きている」
デロイト トーマツ コンサルティングの長川知太郎執行役員は、ダイヤモンド編集部のインタビューに対し、そう明言した(本特集#9『デロイトのコンサル採用責任者が初激白、「5年後に1万人」大増員計画と人材引き止め策の全貌』参照)。
空前のコンサル人材の争奪戦が起きているという長川氏の認識は、業界では共通のものだ。
長川氏はインタビューの中で、デロイトは現在4000人ほどのコンサル人員を倍以上の1万人規模に爆増させる方針を示した。
デロイトが意識するのは、業界では「独り勝ち」とされる絶対王者のアクセンチュアである。アクセンチュアはなんとこの7年ほどで4倍の1万8000人規模に増やしている。
ビッグ4の一角だが、コンサル部門はデロイトなどの後塵を拝してきたEYストラテジー・アンド・コンサルティングも、デロイトトップを務めた近藤聡氏がコンサル部門の抜本強化策である「プロジェクトドラゴン」を掲げ、人材獲得を強化している(特集『コンサル新序列』#6『元デロイトの超大物コンサルが「電撃移籍の真相」とEYの秘策を初告白』参照)。
デロイトOBは「EYは近藤氏の子飼いだったコンサルタントだけでなく、ほかのファームからも人材を激しく引き抜いている」と話す。
アクセンチュアやビッグ4といった大どころによる人材の引き抜き合戦が熾烈を極める中、その余波が押し寄せるのが国内系コンサルである。
国内系大手は破格の待遇を打ち出して人材のつなぎ止めを図るものの、「格上」の外資系コンサルへの流出は少なくない。
外資同士の争奪戦の“とばっちり”を受けるような格好となった国内系の悲哀を、ビッグ4の一角が絡んだ引き抜きエピソードと共に明らかにする。具体的な次の引き抜きのターゲットも浮上している。