コンサル大乱戦#5写真:毎日新聞/アフロ、NurPhoto/gettyimages

3月、政府が主導する未来型都市「スーパーシティ」の選定でコンサル絶対王者のアクセンチュアが落選した。自治体に惜しげもなくリソースを投じ、下馬評も高かった大本命のまさかの撃沈に、コンサル業界を超えて動揺が広がった。およそ10回にわたり公開予定の特集『勝ち組に死角!コンサル大乱戦』の#5では、アクセンチュアがスーパーシティ構想から漏れた理由と、反転攻勢に向けた次の一手をひもとく。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

「苦節10年」の悲願のスーパーシティ構想で
大本命アクセンチュアがまさかの敗北

 3月初旬、政府が主導する未来型都市「スーパーシティ」の選定結果が公表された。結果は驚きのものだった。下馬評で大本命とみられていた、アクセンチュアが支援する福島県会津若松市が選定から漏れたからだ。「まさかあのアクセンチュアが落選するとは……」。コンサルビッグ4の幹部もそう絶句した。

 そもそも、スーパーシティ構想とは、デジタルなどの最先端技術を活用した未来都市づくりを目指すもの。大胆な規制緩和によってさまざまな実証実験が可能になるとされている。2020年12月に公募され、31団体が応募した。

 当初、ビッグプロジェクトとして自治体だけでなくビジネスサイドも沸き立った。産官学のコンソーシアムが組まれたほか、地方都市の在り方をも変える仕組みづくりが掲げられ、コンサルやITベンダーなどがこぞって参画した。

 アクセンチュアは、スーパーシティの内容を包括するスマートシティの分野で自治体と組み数多くの実績を生み出している。いわば「お家芸」とすら呼べる。

 とりわけ、会津若松市とは蜜月関係を築き上げ、東日本大震災後の11年からスマートシティの事業に共同で取り組んできた。例えば、市民向け地域情報プラットフォームやモバイル決済サービスの実験などを「街ぐるみ」で進めてきた。

 アイデア出しだけではない。現地にはアクセンチュア・イノベーションセンター福島という拠点を設け、250人以上の人員を送り込む方針も示していた。アクセンチュアのスーパーシティへの取り組みは、競合と比べ明らかに抜きんでていたのだ。

 10年もの間、人やカネを惜しげもなく投じて力を入れてきたアクセンチュアが、スーパーシティ構想から漏れたのはなぜか。一方、落選のショックからまだ冷めやらぬと思いきや、アクセンチュアはすでに次の飯の種を見いだしつつある。しかも、そこには文字通り、桁違いのマネーがうごめいている。

 次ページからは、大本命のアクセンチュアの敗退を決定づけることになった理由と、次の一手についてひもといていく。