セブン&アイ・ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略が事実上崩壊した「DX敗戦」を巡り、デロイト トーマツ コンサルティングが“両手取引”ともいえる受注をしていたことが、ダイヤモンド編集部が新たに入手した内部資料で判明した。およそ10回にわたって公開予定の特集『勝ち組に死角!コンサル大乱戦』の#6では、受注合戦が過熱したDXバブルの裏で繰り広げられたコンサルの仰天手口を明かす。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
セブンの「DX敗戦」騒動で
デロイトが“両手取引”!?
まずはセブン&アイ・ホールディングスの「DX敗戦」を簡単に振り返ろう。その本質は、昨年にDX戦略の「司令塔」だったグループDX戦略本部の解体と目玉施策の撤回に加え、それらを1年超にわたり主導してきた米谷修氏が事実上の“失脚”に追い込まれたことだ。
セブン&アイは、DX戦略の要となる新会社を2022年春に発足させる計画を水面下で進めていた。リクルート出身で執行役員だった米谷氏の名を冠し「ライスプロジェクト」と命名されたこの目玉施策は、HD傘下のIT子会社を合流させ、グループのIT人材を集約するという壮大な構想だった。
だが、米谷路線は“落とし穴”にはまることになる。HD傘下のセブン-イレブン・ジャパンなどの事業会社から不満が噴出、米谷氏は蜜月のベンダーの失策などでも社内から集中砲火を浴びた。
そして、21年7月にDX戦略を検証する目的でまとめられた中間報告で厳しい総括にさらされた米谷路線は瓦解することになったのだ(特集『セブンDX敗戦』#1『【スクープ】セブン&アイのDX、担当役員は失脚しIT新会社は白紙!内部資料で暴く「完全崩壊」全内幕』参照)。
実は、このDX敗戦を巡る一連の大騒動の陰で、巧みにポジションを取り、“両手取引”ともいうべき動きで関連案件を物にしていたコンサルティング会社が存在する。それが大手コンサルのデロイト トーマツ コンサルティングである。
次ページからは、新たに入手したセブン&アイの内部資料を基に、デロイトのすさまじいまでに貪欲な案件受注の実態と実額を、詳細な時系列で明らかにしていく。