バブルの様相を呈するコンサル業界で、異業種からの参入が相次いでいる。ソニーグループや富士フイルム、NTTといったビッグネームだけではない。地銀すらもおこぼれにあずかろうと駆け込んでいる。従来はコンサルを“使う側”だった事業会社の「自前コンサル」に果たして勝機はあるのか。およそ10回にわたり公開予定の特集『勝ち組に死角!コンサル大乱戦』の#4では、異業種コンサルの百花繚乱の実態を詳説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
三菱商事にNTT、地銀にメーカー…
コンサル事業に参入ラッシュ
「コンサルティング業界は“大衆化”が進んでいる。いまや猫もしゃくしもコンサル状態だ」。ある現役コンサルタントは、ちまたで巻き起こるコンサルブームに苦笑する。
デジタルトランスフォーメーション(DX)などを追い風に、もはやバブルの様相すら呈する「勝ち組」のコンサル業界。アクセンチュアなどの大型ファームを中心に人材の流入も加速し、コンサル市場の裾野は広がるばかりだ。
そんなコンサルブームを「ゴールドラッシュ」とばかりに、多くの事業会社が独自のコンサルビジネスに乗り出し始めている。本特集#2『三菱商事・NTT連合がDXコンサルで最強アクセンチュアに挑戦状、3000人リストラの富士通は脱落』で詳説した三菱商事やNTTはその代表格だが、銀行やメーカーなどもこぞって参入し、新たな商機を見いだしているのだ。
これまでコンサルを“使う側”だった事業会社で、なぜコンサル設立ラッシュが起きているのか。果たして彼らは既存のコンサル業界に風穴をあける脅威となり得るのか。それとも素人の生兵法で死屍累々となるのか――。
次ページからは、製造業、通信、地銀からのコンサル参入ラッシュの理由と、共通する二つの死角を分析する。ただし、異業種からのコンサル参入の成功事例はすでにある。そこから見えてくる一筋の光明も解説する。