商社非常事態宣言#15Photo:123RF

企業のDX支援で活況を呈するコンサル業界で「独り勝ち」状態とされるのがアクセンチュアだ。だが商機をあの商社が見逃すわけがない。伊藤忠商事が、ある戦略で王者アクセンチュアに対抗すべく動き始めた。特集『商社 非常事態宣言』(全15回)の最終回は、新たな市場へと侵攻戦に打って出た商社の姿を描く。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

国内系コンサルのシグマクシスと資本提携
アクセンチュア対抗戦を仕掛けた伊藤忠の狙い

「日本の産業構造を変えていきましょう」――。

 4月、コンサルティング会社シグマクシスと資本業務提携を締結した伊藤忠商事。情報・金融カンパニー プレジデントの新宮達史は提携発表前、シグマクシス会長の倉重英樹らと向き合い、そう“共闘”を約束した。

 シグマクシスは2008年、三菱商事と米投資会社RHJインターナショナルの合弁会社として設立、13年には東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たした。ところが三菱商事は18年にシグマクシスの全保有株式を売却し、資本関係を解消していた。

 伊藤忠はその機を逃さず、「三菱商事系」の冠が取れたシグマクシスとの交渉に着手。今回の提携で35億円を投じ、シグマクシス株の約9%を取得することになった。シグマクシスにとっては「捨てる神あれば拾う神あり」というべきか、伊藤忠グループ企業への顧客網拡大に弾みをつけた形だ。

 では、伊藤忠の狙いは何か。

 彼らが提携の先に見据えるのはコンサル界の巨人、アクセンチュアである。