Mさん夫婦が投資信託で選ぶべき
ペース配分やインデックスファンドは?

 実際にこの比率をMさんの家計に当てはめてみましょう。資産形成する資金は3848万円ですから、預金2300万円、投資信託1548万円を1つの目安とするとよいはずです。毎月の貯蓄6万5000円についても、6割は預金、4割は投資信託と分散して積み立てていくほうがよいでしょう。先ほど試算した通り、Mさんがパートを始めた後、夫婦が投資信託にかけられる資金は年間266万4000円でした。投資信託の目標を全体の4割(=1548万円)とした場合、約6年で目標に達してしまいます。

 これでは少しペースが早すぎるので、別の方法を考えてみましょう。Mさん夫婦はiDeCoを行っていますので、例えば、266万4000円を3年間行い、後はiDeCoの拠出だけで投資信託を積み立てていく形もよいでしょう。この形であれば、60歳時点で4割を少々オーバーするものの、1572万円(積立金ベース)になります。

 もちろん、この積立方法は1つの考え方です。ここでは「スタートダッシュ型」と呼びましょう。

 一方で、毎月の振り替え金額を少なくして、もっと長い期間で振り替えていく選択肢もあります。上限4割を目安にして、振り替え金額はMさんのやりやすい方法で設定してください。ただし焦りは禁物です。

 そして、積み立てていく投資信託の種類について。相談文によると、「S&P500や全米株式、全世界株式を購入している」そうですが、全世界株式の資産配分の約6割は米国株になります。つまり、一見するとエリアを分散しているようで、米国株に集中しているのとほぼ同義です。分散することに重きを置くのであればS&P500は外して、「全世界株式」1本の買付けで充分だと思います。

 ただ、iDeCoを含め、どの金融機関でも全世界株式を取り扱っているわけではありません。全世界株式の取り扱いがなかった場合も、分散を重視して「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドを選ばれるとよいはずです。全世界株式かMSCIコクサイに連動する投資信託であれば、ほぼすべての金融機関がどちらかを取り扱っていることでしょう。