田中章雄・ブランド総合研究所社長は、「石川県は日本海側に面しており、能登半島があること、甘エビをはじめ、海の幸が豊富であることが「海の豊かさを守ろう」の評価が高い理由として考えられる。また、金沢は北陸新幹線開通によって『まちづくり』に関する計画や取り組みが近年盛んであった。一方、能登半島では過疎化などの課題も大きく、県内全域で「まちづくり」への認識が高く、その取り組み自体を県民が評価しているのだろう」と分析する。

 なお、「住み続けられるまちづくりを」への評価は、年代別では60歳以上が61.4%と、石川県の全世代平均の33.7%よりとても高くなっている。

まちづくりの悩みが少なく
生活の満足度は国内トップ

 また同調査では、SDGsのゴール別に対する住民の悩みについても聞いている。「あなた自身や家族が感じている悩みがあれば、いくつでもお選びください」という質問においては、県民の「まちづくり」に関する悩みは他の県よりも少なく、「悩みがない」と回答した人は20.7%と全国で4番目に少なかった。

 ちなみに、同じ悩みが最も少ないのは福岡県21.4%で1位、次いで東京都21.3%で2位、大分県が20.9%で3位である。

 では、SDGsへの取り組みが進むことが、石川県にとってどのようなメリットをもたらすのだろうか。その件について田中社長は「まちづくりや海の幸への取り組みは、住民の生活面での満足度を高める効果があるようだ。調査でも石川県は『生活満足度』が全国1位となっている」と指摘する。

 具体的には、この調査における「あなたは今の生活に満足していますか」との質問において、県民の生活満足度は前年の4位から急上昇。「とても満足」が18.7%、「おおむね満足」は52.6%と、7割以上の県民が生活に満足しており、生活満足度は石川県が初の1位を獲得した。