米国の銀行は、個人間送金サービス「Zelle(ゼル)」を小売り大手の商品代金決済に導入する計画について議論をしているところだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下で、人々が現金自動預払機(ATM)を避け、現金や小切手の代わりにデジタル送金に移行したことを背景に、ゼルの利用も拡大した。2021年のゼルの利用回数は約18億回、総決済額は4900億ドル(約60兆7000億円)に達し、いずれもパンデミック前の水準の2倍以上に増加した。この成長を機にゼルには新たな可能性が生まれ、ゼルのオーナー銀行(JPモルガン・チェース、バンクオブアメリカ、ウェルズ・ファーゴなど)の間に不協和音を引き起こした。内情に詳しい関係者によると、議論の中心となっているのは、クレジットカード会社のビザやマスターカードと競合する決済手段を促進することが、銀行にとって得策か否かという点だという。
個人間送金「ゼル」のサービス拡大、米銀が検討
カード決済が主流の米国で人気を得る保証なし
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