無謬性にとらわれているのは行政だけではない。Aさんは今、一部の業務がスマホでもできるよう準備を進めているのだが、業務時間中にスマホを見ていると、市民から「仕事中にスマホを触るとは何事だ」と電話が入ったという。
適切な時代認識を持たない一部の市民やメディアが本質からずれた批判をすることで、行政はさらに息苦しくなっていく。自分たちは間違えてはいけない。それが根底にあるからこそ真に受けて、変わることをやめてしまう。
役所の変革こそ
一筋縄ではいかない
行政を取材すると、「役所の変革こそ一筋縄ではいかない」という声を聞く。何かを変えようとすれば、受け継いだ政策をまずは「是」とするのが役人のイロハだと、役人としての資質を問われることになる。
冒頭の答弁で、牧島かれんデジタル大臣は、「企業の常識が霞が関の常識になっていない」と指摘した。「まずはデジタル庁が無謬性にとらわれず、新たなショーケースとなり、他の省庁にも展開しやすくしていきたい」という。
適切な時代認識とともに、世の中の当たり前を霞が関の当たり前に。そして、自治体の当たり前に。今がその分水嶺だ。