雇用市場の冷え込み方には二通りある。一つは、採用が大きく減速すること。もう一つは、より多くの人々が労働人口に加わることだ。言うまでもなく、後者が望ましい。だが、米国で後者がどのくらいになるかは不明だ。米労働省は6日、4月の就業者数(季節調整済み)が前月比42万8000人増加したと発表した。これは3月と同水準で、雇用の急速な拡大が続いている。別調査に基づく失業率は3.6%と、極めて低い水準にとどまった。連邦準備制度理事会(FRB)はここに来て、雇用市場の熱を冷ましたい考えだ。労働力の供給が少なくなるほど賃金が上昇し、インフレ制御は難しくなる。しかし、採用活動はFRBが単純にスイッチを入れたり切ったりできるものではない。FRBの利上げが経済に浸透するには時間がかかる。米経済の潜在的な需要は引き続き堅調だ。企業は必死に人材を探している。労働省の今週の発表によると、3月時点で失業者1人当たりの求人件数は1.9件と過去最高だった。需要の伸びが減速したとしても、すぐさま労働市場の打撃とはならないかもしれない。