「スマホで請求書払い」も還元されないものが続々
キャッシュレスはお得じゃない!?

 なお、コンビニ払い用の請求書のバーコードを読み取って、スマホ決済で支払うこともできる。「請求書払い」との名称でアプリ上で利用できるが、これがポイント還元の対象になるかどうかは各社まちまちだ。

 d払いは対象外、LINE PayもVisa LINE Payクレジットカードを使ったチャージ&ペイでないとポイントが付かない。PayPayも4月からポイント特典の対象外となった。auPAYはポイント付与の対象となっているが、還元率は0.5%。クレジットカードのauPAY カードで残高チャージすると1%還元となるので、それで合計1.5%まで引き上げることは可能だが…。

 こう見ていくと、公共料金の支払いについてキャッシュレス事業者はあまり前向きでないように感じる。現在ポイント付与の対象であっても、今後サービスが変更されることを覚悟しておく方がいいかもしれない。

 電力会社が今の割引額を変更しない限り、カード払い・スマホ決済の請求書払いと、口座振替割引との比較では、素直に後者を選ぶ方がトクしそうだ。それに、他にもメリットがある。

 銀行は口座保有者の取引状況によって、ATMなどの手数料無料回数を決めるなどのステージ制を採用しているが、公共料金の口座振替を取引条件に加えているところもあるからだ。新生銀行は、口座引き落としが年6回以上あれば、新生シルバーのランクとなって、主なコンビニATM手数料が無料となる。

 楽天銀行はハッピープログラムの対象になるので、ステージに応じたポイント数が付与される。どうせならメリットのある銀行を選びたいものだ。

新電力に切り替えて安く――は、
この先期待できない

 2016年に政府の肝いりで始まった電力自由化で、安さを売りにした「新電力」が次々開業した。以前は光熱費を安くする方法として、新電力への切り替えという手も確かにあった。

 しかし、ここにきて発電燃料の高騰は新電力の経営も脅かしている。自前の発電所を持たない新電力は、卸売市場や発電会社から電力を仕入れてきたが、その調達価格もやはり上がっているからだ。そもそも、新電力は安さを売りにしてきたが、電力の調達コストが上がれば利益を圧迫し、安い価格を維持しようとすればするほど赤字となる。

 もっと言えば、安さを求めて契約者が増えれば増えるほど赤字が膨らむわけで、ウクライナ情勢の好転を待たずに新規契約を停止したり、事業から撤退したりする企業が増えているのが現状だ。こんな状況では、新電力への切り替えで電気代を引き下げられる可能性は限りなく低いだろう。

 しかし、大手電力会社も無傷ではない。先に書いたように、燃料価格を無制限に上乗せできるわけではないため、今後もエネルギーの高騰が続くと電力会社本体の利益を削ることになってしまう。虎の子の55円割引は、果たして今後も守り通せるのか。消費者にとっても悩ましい季節が続きそうだ。