儲かる農業堕ちたJA#14Photo by Fusako Asashima

ダイヤモンド編集部が面積当たりの収益性に着目して厳選した「中小キラリ農家」には新進気鋭の30代、40代が代表を務める農家が多数ランクインした。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の#14では、“首都圏近郊のスター”と評されるトマト農家に「儲かる秘訣」を開陳してもらった。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

「再現性の高い」農業を目指す
首都圏近郊のスター的トマト農家

 首都圏近郊のスター的存在になっている農家がある。神奈川県藤沢市に拠を構える井出トマト農園代表取締役の井出寿利氏(41歳)だ。

 ダイヤモンド編集部では、面積あたりの収益性や将来性に着目して「中小キラリ農家」を厳選した(中小キラリ農家の詳細は、本特集の#10『「すごい中小農家」ランキング【ベスト20】1位は三井不動産から転身した山形県の“新星”』)。そのランキングで5位にランクインしたのが井出トマト農園だ。

 父方の祖父が1930年、約90年前にトマト栽培を始めたのが井出トマト農園のルーツ。井出氏の幼稚園の卒園アルバムには、すでに「トマト農家になる」という将来の夢がしたためられていたというから、筋金入りの3代目経営者である。父から経営を譲り受けるかたちで2006年に就農した。

 とにかく、販売上手である。販売チャネル別に高級品、手頃品、加工品と差別化したトマト製品を売り込んでいる。大手小売りチェーンから個人ユーザーまで、多種多様な属性の“固定ファン”を獲得できていることが強みだ。

 だが、そうしたロイヤルユーザーを味方につける戦法には、井出氏ならではの「勝算」がある。井出トマト農園とビジネスパートナーになりたいと思わせるだけの「歴とした根拠」があるのだ。

 次ページで、その門外不出のノウハウを明かしていこう。