儲かる農業堕ちたJA#15Photo by Reiji Murai

鳥取市の農地面積の3分の1を集積へ――。元歌手で、元ベンチャー企業の役員という異色のキャリアを持つ農業経営者が“儲かる農業”の実績を積み上げて、農業経営の変革に挑もうとしている。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の#15では、農業の門外漢が試行錯誤の末に体得した経営哲学を披露する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「鳥取市の3分の1の農地を集積へ」
経営大規模化にまい進する革新農家の野心

「日本の農業法人は、ほとんど小規模プレーヤー。農業は忙しいのでみんな朝から晩まで働いているが、極論を言えば農業経営者はトラクターに乗るべきではない」
 
 これからの農業経営の在り方を説くのは、鳥取県鳥取市を本拠とする農業法人トゥリーアンドノーフ代表の徳本修一氏だ。ダイヤモンド編集部が選定した「レジェンド農家」の8位にランクイン(詳細は本特集の#8『「レジェンド農家」ランキング【ベスト20】2冠王の野菜くらぶ代表が語る経営危機からの復活劇』参照)。

 地元の鳥取市内で後継者難に悩む農家との交渉を進めて農地の集積を進めており、2030年には約1000ヘクタールの規模に達することを見通している。その規模は東京ドーム210個分に相当し、鳥取市の農地面積の3分の1を占めるスケールだ。

「農業経営の大規模化を進め、スケールメリットによる利益極大化を目指すことが、持続的経営の王道」と説く徳本氏。次ページでは、異業種から転じた革新農家だからこそ実践できた「経営哲学」を明かす。コメ農家の中でも経営判断が難しい「飼料米生産」に大転換できたのはなぜなのか。