儲かる農業堕ちたJA#17Photo:Audtakorn Sutarmjam/EyeEm/gettyimages

肥料などの高騰が農家の経営を直撃している。今後、離農や廃業が相次ぐとみられる。そうした中、活気づくのがM&A(企業の合併・買収)の仕掛け人たちだ。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の最終回では、大離農時代に農場買収で急成長を目指す“豪農”企業の動きに迫った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

“豪農”による農場買収が加速
ネックは企業による農地所有規制

 農作物の相場低迷に悩んできた農家に、肥料や飼料の高騰が追い打ちを掛けている。すでに肥料は2015年比で9.5%値上がりしたが、秋以降にさらに高騰することが確実視されている。

 新村直弘・マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表は「肥料の国際価格は1年で2倍超に上がっている。国内の肥料価格も国際価格につられて上昇することは避けられない」と見る。

 肥料を大量に使う農作物・畜産を手掛ける農家は戦々恐々としている。とりわけ危機感を募らせているのが酪農家だ。牛たちが毎日食べる飼料の値上がりはキャッシュフローの悪化に直結するからだ。

 次ページでは、肥料などの高騰が農業経営に与える影響を独自試算したデータを公開する。また、農場のM&A(企業の合併・買収)の最前線や、農業の成長産業化の障害になりかねない「企業による農地所有規制」の実態などを明らかにする。