ビデオ会議システムを運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは皮肉な課題に直面している。「ズーム」という社名を有名にした顧客層への依存をいかに減らすかということだ。そうした観点からは、23日午後に発表された同社の第1四半期決算では進展が見られた。企業顧客向けサービスの売上高は前年同期比31%増、四半期ベースで同社事業の半分強を占めるようになった。これは、同四半期の総売上高の伸び(12%)を大きく上回っている。ズームはまた、市場予想を上回る業績見通しを1年以上ぶりに示した。24日午前の取引では他のハイテク銘柄が急落する中、それまで下落していたズーム株価は上昇した。ズームのルーツは企業向け市場にある。同社は、元シスコシステムズ幹部が、シスコのWebEx(ウェブエックス)に対抗できる企業向けビデオ会議プラットフォームを構築することを念頭に設立した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の発生をきっかけに、ズームは極めて使い勝手のよいサービスとして急速に浸透し、在宅勤務を余儀なくされた人々のライフラインとなった。