スイス東部ダボスに集まったエリートたちは、この世界経済フォーラム年次総会で通常、市場や経済について議論する。この「ダボスコンセンサス」は往々にして全く的外れで、逆張り戦略の有益な手掛かりとなり得る。ところが、今年はそもそもコンセンサスが存在しておらず、市場の混乱ぶりを如実に物語っていると言えそうだ。S&P500種指数は弱気相場入りを目前にしている。にもかかわらず、リセッション(景気後退)が迫っているかどうか、一致した見解は出ていない。企業幹部は口をそろえて問題をこう説明する。「事業は好調だが、この先厳しい状況に見舞われるのは明らかだ」英銀大手スタンダードチャータードのホセ・ビニャール会長は「ここ(ダボス)にいる誰もが悲観的だ」と話す。「だが、業況について尋ねると、素晴らしいという答えが返ってくる。企業の現実もいずれ(非常に暗い)マクロ・政治の現実に追いつくのかもしれない」