JR東日本の2021年度の鉄道運輸収入は、コロナの影響が無い2018年度と比較して新幹線が約60%、在来線が約50%の水準だった。同社は2022年度業績予想の中で、年度末までに新幹線はコロナ前の約90%、関東圏在来線(定期外)は95%まで回復する見通しを示しており、運輸セグメントで100億円、連結では1530億円の営業黒字、600億円の最終黒字と予想している。

 JR西日本も2022年12月時点で山陽新幹線と近畿圏在来線がコロナ前の90%まで回復することを前提に、運輸セグメントは110億円の営業赤字ながら、連結で300億円の営業黒字、585億円の最終黒字を計上する業績予想を開示した。

 JR東海はさらに固い数字を掲げている。2021年度第4四半期(1~3月)の運輸収入はコロナ前の52%だったが、2022年度は第1四半期が60%、第2四半期は70%、下期は80%と段階的に回復し、通期では72.5%程度で推移するとした。それでも東海道新幹線の高い利益率を反映し、運輸セグメントは2690億円、連結で2900億円の営業黒字、1460億円の最終黒字を目指すとしている。

 一方、JR九州は、運輸セグメントで約223億円の営業赤字を計上しながらも、ホテル・駅ビル・不動産セグメントが引き続き好調で、連結では約39億円の営業黒字、約133億円の最終黒字となった。今年度は西九州新幹線開業効果もあり、運輸セグメントの営業赤字をほぼ解消し、連結で290億円の営業黒字、245億円の最終黒字を予想している。

大手私鉄15社で
最終赤字は2社

 大手私鉄に目を向けると、最終赤字となったのは東京メトロ(約134億円)、京成電鉄(約44億円)の2社だ。各社の利益の内訳を比較すると、近鉄GHD、京急、小田急、西武HD、京王の5社は、固定資産の売却など多額の特別利益を計上。資産を減らし、所有と運営を分離することで経営効率を高める「アセットライト経営」の導入が進んでいる。

 事業の実情を理解するために営業損益をセグメント別に見てみよう。まず2020年度を振り返ってみると、15社中10社が鉄道やバスなど運輸セグメントで、15社11社がホテルや観光などレジャーセグメントで、それぞれ100億円以上となる双子の赤字を抱えていたことが分かる。