銀行「与信基準の厳格化」が世界的に加速、高まる景気“オーバーキル”リスクPhoto:123RF

利上げの軟着陸が難しい理由
金融政策の効果を巡る不確実性

 最近のインフレの上振れに慌てた形で、米連邦準備理事会(FRB)高官は、相次いで利上げを前倒しする発言をし、ウクライナ侵攻で経済成長の下押し懸念が強まる一方のユーロ圏ですら、欧州中央銀行(ECB)のタカ派化が加速している。

 皮肉なのは、金融引締めのやり過ぎによる景気のオーバーキル懸念も同時に高まっていることだ。景気後退を招かずにインフレを鎮静化させること(いわゆる軟着陸)の難しさに注目が集まっている。

 米国、欧州の両中銀はともに、軟着陸に成功するとの立場を維持しているが、オックスフォード・エコノミクスは、利上げが前倒しになると同時に、毎回の利上げ幅が大幅になるに連れて、やり過ぎのリスクが高まっていると認識している。

 軟着陸が難しい大きな理由は、金融引き締めが景気や物価に及ぼす影響が、半年以上先にならないとわからないことだ。どういうルートで、どの程度の大きさの効果が出てくるか不確実な中では、気づいたら引締め過ぎていて、急いで利下げに転じても遅きに失したという事態になり易い。

 引締め効果の不確実性という点で気になるのは、世界的な視点で見た銀行の企業向け与信基準のタイト化の動きだ。