経済指標の減速、ロシアに対する制裁の強化、新型コロナウイルス対策の影響で断絶が続く中国のサプライチェーン(供給網)をよそに、米国株は2年余ぶりの好調な1週間となった。何があったのだろうか。これについては三つのまっとうな説明がある。いずれも部分的には正しいが、前途に光明が見えるのは一つしかない。一つ目は消費者だ。インフレが購買力をむしばむ中、消費者主導のリセッション(景気後退)が近づいているとの懸念が5月半ば以降に高まり始めた。小売り大手のウォルマートとターゲットが減益となり両社の株価が急落したことで、株式市場全体に不安が広がった。S&P1500種指数を構成する小売銘柄の中央値で見ると、株価は5月24日までの1週間に14%下落した。