愛知医科大学客員教授の佐藤純医師は、天気による体調の悪化や寒暖差による不調を「天気痛」と命名し、同大学病院で「天気痛・気象病外来」を開設して患者の治療にあたっている。

「体調を崩す3要素である気圧・温度・湿度が、耳の奥にある内耳や自律神経に作用することで、体調不良を引き起こします。特に気圧の影響が大きい。もともと高気圧で晴れている時は、体の活動性を上げる交感神経が優位になりますが、低気圧で曇りや雨の時は、休息モードの副交感神経が優位になります。しかし、現代人は運動不足や生活リズムの乱れにより自律神経の働きが弱くなっていて、天候の変化にうまく対応できなくなってしまうことがあります」

 不調を感じる「時点」にも注意したい。上空が低気圧に覆われて天気が悪くなる前、つまり、気圧変動が起きている時の方が人は体にストレスを感じやすいという。症状として表れるのは、頭痛やめまい、倦怠感、関節痛、ぜんそく、うつ病などさまざまで個人差がある。佐藤医師の「天気痛・気象病外来」には片頭痛の患者が多いという。

ウェザーニュースが提供する「天気痛予報」の画面ウェザーニュースが提供する「天気痛予報」の画面(画像=同社提供) 拡大画像表示

「いわゆる『古傷が痛む』という症状の人は、外来にはあまり来ません。患者に多い症状は頭痛で、深刻な例には、仕事を辞めてしまう人や、学校に行けなくなる子どももいます。雨が降るだけで、日常生活に支障が出るほど体調不良になるというのは、周囲の理解を得られにくいため、患者本人と家族は苦しい思いをすることがあります」

 女性患者のなかには、PMS(月経前症候群)と気象の乱れが重なった時に、体調が普段より悪くなるという人も少なくないという。