気圧の変化を視覚化

 気圧は肌感覚や目で見てわかるものではない。気圧の変化などを視覚化して、これから起きる体調不良を予測したスマホのアプリがある。

 気象情報会社「ウェザーニューズ」は、「天気痛予報」を配信している。大きな気圧の変化のみならず、微小な気圧変動(微気圧変動)や、毎日決まった時間に起きる「大気潮汐(たいきちょうせき)」による気圧の変動幅まで、3つの要素から予測できる1週間分の“天気痛予報”を出している。

「微気圧変動は台風シーズンの秋に起こりやすくなります。フィリピン海沖など遠くで発生した台風から、波紋のように伝わってくる微小な気圧変動でさえ、影響を受けて頭痛を引き起こす人もいます」(ウェザーニュース広報)

 ウェザーニュースのアプリのダウンロード数は3000万を超える。「天気痛予報」はそのコンテンツのひとつだが、同社によると、不調の警戒日を知らせる「天気痛アラーム」機能の登録者は20万人を超える。これは、花粉症の人向けの「花粉対策アラーム」と肩を並べる数だという。

「『天気痛アラーム』を始めたのが2020年6月だったのですが、そこから登録者が右肩上がりに増えている状況です」(ウェザーニュース広報)

 顧客関係管理(CRM)事業を展開する「ベルシステム24」は、気圧変動による体調不良が起こりやすい時間帯を予測する「頭痛ーる」というアプリを提供している。利用者の86%が女性で、20~30代が6割を占める。

ベルシステム24が提供する「頭痛―る」の画面。「痛みノート」という記録機能も備えているベルシステム24が提供する「頭痛―る」の画面。「痛みノート」という記録機能も備えている(画像=同社提供) 拡大画像表示

「利用者に話を聞くと、頭痛の原因がわかって気が楽になったという声のほか、予測を見て、仕事や遊びの予定を決めるといった声もあります。例えば、フレックスで働ける人は、翌日の午後に頭痛がきそうだとわかると、午前中に仕事を済ませるように予定を組んでいるようです」(アプリ担当者)

 アプリには「痛みノート」として、痛みの程度や服薬を記録する機能も備えている。頭痛で通院している人だけでなく、診察する医師にも重宝されているという。

「医師は、患者に頭痛の頻度や程度、どんな薬を飲んだのかなどを問診します。その際に患者の記憶だけでなく、アプリの記録を見て判断することができるため、診察時のコミュニケーションツールとしても役立っています」(同)

 子どもやパートナー、ペットの体調管理に利用する人もいるようなので、身近で症状がある場合はアプリ利用を検討するのもいいだろう。

 ただ、注意点もある。ひどい頭痛が長引く場合は、天気や気圧のせいではないかもしれない。慢性的な症状がある場合は、きちんと医師に相談することを心がけてほしい。

(AERA dot.編集部・岩下明日香)

AERA dot.より転載