テレワークが日本社会に浸透すれば
「副業」も変わるだろう

 付け加えると、テレワークは副業にもなじみがいい。現在のNTTグループの企業が、一気に社員の副業について全面解禁や副業推奨にまで向かうのかどうかは分からない。ただ、テレワークで時間と居住地が自由になれば、社員は副業を行うことが容易になる。仮にNTTが社員の副業に対して消極的だとしても、競合他社が副業に積極的になると、それに追随せざるを得なくなるのではなかろうか。

 副業の普及は概ねいいことだ。社員の自由の拡大だし、収入機会の拡大でもある。また、副業がセカンドキャリアへのスムーズな移行を助けたり、場合によっては起業につながったりするケースも出てくるはずだ。いきなり独立するのではなく、副業の形で新しいビジネスを試すのは、リスクコントロール上有効な方法だ。

 テレワーク拡大の副次的効果として、副業の普及にも期待したい。

テレワーク浸透→転職コスト低下
次に来るのは「人材の流動化」

 さて、多くの会社がテレワークを自由にしたら、社員から見ると就職先の立地の制約が緩和される分、転職のコストが下がる。しかも、人事評価は成果主義に傾き、報酬も生産性に応じてより弾力的になるので、社員の転職が増える要因になるだろう。

 転職のコストが減少し、人材が流動化して再配置される機会が増えるのはいいことだ。労働者同士の競争が厳しくなるが、総体としては個人が自分の生産性を上げようとするモチベーションとして働くだろう。

 また、企業同士が優秀な社員に対して提供する条件を競う関係になるので、賃金の上昇にもつながるだろう。企業間での人材獲得競争が盛んになることの効果は大きい。

 また、テレワークで生産に関わる人物は、必ずしも「社員」である必要はない。社員のように働きつつも、企業と個人、あるいは大企業と個人会社のような契約関係を結ぶような自由度も、当事者がうまく活用すると双方にとってのメリットになり得る。また、「優秀な人材」は必ずしも日本国内に居住する者でなくてもいい。テレワークを前提に業務を組み立てることは、優秀な人材を探す範囲の拡大にもつながるだろう。