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「人間の本質を、どれだけ生肌で、生身の感覚で大切に紡げるか。それが、自分にとっての勝負」(ロフトワーク・林千晶)――古川享が聞き出す 今を駆けるスマート・ウーマンの本音

林 正愛 [アマプロ株式会社社長]
【第7回】 2013年1月17日
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:例えば偉い人を傷つけると、日本人でもものすごく処罰されると脅されました。また砂漠の移動に欠かせないラクダを身分が低い人間が殺してしまうと、人が死刑になるらしいと聞いて、なんというか、絶対的なルールというものはなくて、それぞれの国がそれぞれにルールをつくっているだけなんだなと思ったのです。

 だから、逆にその国のルールが合わなければ、他の場所に行けばいい、という感覚も生まれ、それは自分の生き方や仕事の仕方でも、ルールに合わせるよりも、自分が好きなところに行って、好きなことをとことんやろう、という今のスタンスにつながっています。

古川:では仕事も、ロフトワークを起業するまではいろいろ経験したのですか?

:大学を卒業して最初に就職したのは花王でした。

古川:そうでしたか。花王ではどのような仕事をしていたのですか。

:スキンケア、化粧品を3年くらい担当しました。もともと私自身肌が弱かったので、リラックスできるスキンケアや化粧品を作りたいと思っていたのです。そこで女性の肌の調査をずっとしていたのですが、90年代後半は不況の影響から、働く女性に敏感肌や過敏肌と言われる肌トラブルがどんどん増えていた頃でした。原因を聞くと、仕事のストレスや未来への不安など、ストレスによるものだと言う。

 じゃあ、ストレスに負けない、若い女性の理想のスキンケアブランドを作れと言われたのですが、ふと自分を見てみると、自分の肌だってストレスで荒れてるじゃないか。その時、日本人は物質によって満足を得られるフェーズは終わっているのではないか、と感じ始めたのです。

 何を持っているかではなく、どう考えどう生きるかが問われる時代。私たちはもっと自由で柔軟な生き方を求めているんだと思い至りました。それで、ライフスタイルや働き方の可能性を調べたり伝えたりする職業に就こうと思って、花王は退職しました。

 もともと留学して世界を見たい、という思いは高校生時代からあったのですが、父に、中途半端な語学留学では何も身につかない、何を学びたいかが決まったら留学してもいい、と言われていました。花王を退職して、今がまさにその時だと思い、自分が学びたい分野を調べると、コミュニケーションデザインやジャーナリズムであると。それでアメリカへ留学して、先ほどのロフトワーク設立の話につながるわけです。

私は日本で、日本企業にイノベーションを起こす

Photo by Lim Jungae

古川:MITメディアラボの所長補佐をされていますが、ジョイにパートナーとして選ばれたなんてすごい。関わりたいと思っている人はたくさんいるでしょう。

:そうなのでしょうか。あんまり選ばれたという認識はありませんでしたね。

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林 正愛
[アマプロ株式会社社長]

りん・じょんえ/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社、日本経済新聞社にて、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を活かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月から慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で学んでいる。2児の母。

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日本経済の屋台骨を支えてきた製造業が苦しむ中で、さまざまな技術革新が生まれ、グローバル競争の新たな舞台となっているIT業界。いまやあらゆるビジネスがITを抜きにしては、競争力が立ちいかないのが現状だ。男性のイメージが強いIT業界で、実は多くの女性たちが活躍している。IT業界やそれに関わる仕事をして活躍している女性たちに焦点を当てながら、新しい競争の時代のリーダー像を紹介していく。
 

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