インフレ期待に歪み、パウエル氏も深読み禁物Photo:Robert Nickelsberg/gettyimages

「向こう1年に平均して物価が何パーセント上昇あるいは下落すると予想するか?」

 この問い(まさにこの質問)に対する答えが、米経済に関する最も重要な指標の1つを算出することになる。

 これはミシガン大学が消費者調査で回答者に尋ねる質問だ。1946年から消費者の態度を追跡してきた歴史ある同調査は、インフレ期待に注目するエコノミストにとって、物価動向を見極めるいわばベンチマークとなっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は先頃、0.75ポイントの利上げを決定した要因の1つとして、ミシガン大のインフレ期待の上昇に触れ、「極めて目を引くもので注意を促した」と述べている。

 パウエル氏が言及した6月の速報値は、5~10年先のインフレ期待が3.3%で、実際にそうなればここ10年余りで最も高い水準だった。

 パウエル氏は速報値は改定される可能性があると述べていたが、その通りの展開となった。24日公表された確報値は3.1%と、過去10カ月のレンジに戻った。消費者にインフレ期待を質問するという一風変わった手法によくよく目を向けると、あまり深読みしないようパウエル氏に促す2つの「ゆがみ」が浮かび上がってくる。特に速報値についてはなおさらだ。