改正後に「暦年贈与のさかのぼり調査」の
可能性も

 令和3年度の『税制改正大綱』に「相続税と贈与税をより一体的に捉え」の文言が記されたため、「暦年贈与が廃止されるのではないか」との臆測が広がった。しかし、令和4年度『税制改正大綱』でも同様の表現にとどまり、具体案は示されていない。

 とはいえ、今後、「相続税と贈与税の一体化」は検討が進められ、来年度以降に改正の可能性もあり得る。現行の「暦年課税」では、1月1日~12月31日までの1年間で贈与額が110万円以内なら贈与税が非課税となる。この110万円の基礎控除額が変更・廃止される可能性もある。

 所得税に至っては、無申告や所得隠しへの規制を強化するため、税務調査後に新たに主張する「後出し経費」を認めない方向で、所得税法と法人税法の法改正が進んでいる。税制改正の法案は、今国会ですでに可決・成立している。

 納税は国民の義務と憲法で定められている以上、「知らなかった」では済まされない。といっても、税制改正は毎年行われ、税法は複雑で、すべてを理解するのは困難かもしれない。突然の税務調査と多額の追徴課税でせっかくの副収入を失う前に、税理士を味方にしてほしいと思う。