最初の1カ月で「この組織のDXはかなり難しい」と思った

酒井 入社3カ月後の2021年7月には、日本郵政グループのDXをリードする子会社「JPデジタル」を立ち上げ、代表取締役CEOに就任されました。なぜ、社内のDX推進室ではなく、子会社にする必要があったのでしょうか?

飯田 最初の1カ月で、「この組織の中でDXを進めるのはかなり難しい」と思ったのです。

大角 日本郵政グループは、法規制との兼ね合いで、システムやセキュリティ面の柔軟性が低いのです。今でこそ本社は無線LANですが、郵便局の中は今も基本的に有線LANです。PCは持ち出し不可、インターネットに接続できる環境も厳しく制限されています。

飯田 カルチャーショックでした。「ちょっとスターバックスで仕事したいな」と思ってもダメなんです。(業務用のノートパソコンが)インターネットにつながりません。デジタルの世界で仕事をしてきた人間からすると、どこでも仕事ができるなんて当たり前のことです。それが、最初に20kgのノートPCをボンッと渡されて、「え、これって20年くらい時間が戻っちゃった?」って。

大角 20kgもないですよ(笑)。

飯田 体感としては20kg分くらいありました(笑)。