翠の発売翌月に
緊急事態宣言が発出

 発売された20年3月、翠の滑り出しは思わぬ悪夢と重なった。新型コロナウイルスの流行により、翌4月には1回目の緊急事態宣言が発出されたのである。

「飲食店で試していただいてから、ご自宅でも楽しんでもらえるような販促活動を考えていたのですが、コロナ禍で不要不急の外出は禁止され、居酒屋も休業。CMも当時は放送できなくなり、大きな痛手となりました」

 居酒屋での販売が厳しくなった分、力を入れたのはスーパーやコンビニ、酒量販店といった小売店への販売だったという。

「コロナ禍だからこそ宅飲みを盛り上げようと、小売店の店頭で積極的にPRさせてもらいました。その後、コロナの流行が落ち着くにつれ、営業を再開した居酒屋にも売り込んでいきました」

飲食店が休業を余儀なくされたコロナ禍では、販売店でのPRが鍵となった飲食店が休業を余儀なくされたコロナ禍では、販売店でのPRが鍵となった

 白村さんは「コロナ禍は翠にとってピンチだったがチャンスに変えた」と当時を振り返る。

「コロナ前は、自宅では缶のお酒を飲む人が多かったのですが、外飲みの機会が一気に減ったことで、宅飲み用に瓶を買ったり、普段飲まなかったお酒を買ったりする人が増えました。そういう意味では、求めやすい価格帯で、和素材使用のジンという目新しさがある翠は注目されやすかったと思います」