「面談の残り時間85分はあなたの時間です。プロのコーチングを受ける機会なんてなかなかないのですから、自分の成長の機会として、聞きたいことがあったらなんでも聞いていいですよ」

 そうしたら、「えっ、いいんですか。聞きたいことがたくさんあるんですけど」って、出るわ出るわ、「これね、部下にこうやって言おうと思ってるんですけど、うまくいかないんです。どうやって言えばいいんでしょう?」なんて、リーダーシップに関する質問を次々にしてきました。

 実は、問題社員どころか、向上心でいっぱいの方だったんです。

丁寧に傾聴すれば
問題のある人も変わる

 そんなコーチングを3ヵ月も続けたら、その方、当然のことですが、態度から仕事ぶりから、すべてが劇的に変わりました。

 私に依頼してきた会社の人たちからは、「林さん、人って変わるものなんですね。それにしても、いったいどんな魔法を使ったんですか?」って言われたものです。

 でも、私がやったのは、ひと言で言えば「話を聞いた」だけなんです。

 その方のように、丁寧な傾聴をすることで人が変わるというケースを、私はいくつも経験しています。

 特に、人の上に立っている方は、会社の上層部と部下との間で孤独になっている場合が多いので、話を聞くとグッと変わることが多いように思います。

「話したい」という思いを持つ相手の味方になって聞いていく。

 その効果は絶大です。