ロシアの侵攻開始から約5カ月が経過した今も、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「内なる敵」と戦っている。政府中枢にいるロシアの同調者とスパイのことだ。大統領は今週、汚職や背信行為の対策に不備があったとして法執行機関の高官数人を解任した。この動きで浮き彫りになったのは、ウクライナの防衛弱体化に向け影響力の拡大を狙うロシアの作戦の規模と、それに対応することの難しさだ。解任された当局者の1人、イワン・バカノフ氏は国内情報機関である保安局(SBU)の長官で、ゼレンスキー氏の幼なじみだった。バカノフ氏はロシア政府と共謀したとは疑われていないが、SBUの改革を実行できなかったと広く見なされている。