中国政府は世界有数の徹底したサイバーセキュリティーとデータ保護体制を築き上げてきた。だが、こうした取り組みにもかかわらず、中国市民の個人情報を売買する国境を越えた闇市場が広がっている。データの大半は、中国政府がこれとは別に注力する大型セキュリティー対策から来ている。巨大な市民の監視網だ。今月初め、人気のサイバー犯罪フォーラムで、ある匿名ユーザーが上海警察から盗んだとする推定10億人の中国市民の個人情報を売りに出していた。これは史上最大級の個人情報漏えいとされ、公民身分番号(国民識別番号)、犯罪歴といった極めて扱いに慎重を要する個人情報が含まれていた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの問題が発覚して以降、サイバー犯罪関連の投稿フォーラムやチャットツールのテレグラム上で中国市民の個人情報が売りに出されているのを数十例発見した。無償で提供されているものもあった。WSJが分析したところ、盗まれたキャッシュのうち、4つは政府から流出したデータである可能性が高いことが分かった。政府データが含まれているとして売りに出されているものも複数あった。
中国「監視国家」の副作用、流出情報を闇取引
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