気圧は1日の中でも変わる
リズムに応じて対策を

 気圧の変化が顕著なのは、季節の変わり目、雨が降り出すとき、台風の接近時などですが、季節や気象条件にかかわらず、同じ1日(24時間)の中でも変動しています。これを「大気潮汐」といいます。

 大気潮汐とは、昼間に太陽の光で大気が温められることや、日没後に冷やされることなどによって発生する周期的な気圧変化のことです。この現象は、太陽や月の引力、さらには地球と月が共通する重心の周囲を回ることによって生じる遠心力などにも影響を受けます。潮の満ち引きと同じように、大気も満ち引きを繰り返しているのです。

 大気潮汐の変化は半日サイクルで1日に2回、上下動しています。9時ごろと21時ごろに高くなり、3時ごろと15時ごろに低くなるのが一般的です。

 上げ下げの幅は日によって変わりますが、低気圧や台風がなくても変動し、大きいときでは5ヘクトパスカル程度に達します。私たちの体は日々、この気圧変動の影響を受けているというわけなのです。また、通常よりもアップダウンの幅が大きい日のほうが、気象病の発症リスクが高まることも明らかになっています。

 気象病持ちの方は、日頃からこの大気潮汐のリズムを頭に入れつつ予防対策を講じるのがベターといえるのです。

 気象病の症状に悩んでいる方は、「相手が天気では、どうしようもない」と考えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。天気をコントロールすることはできませんが、自分の体を変えることはできるからです。不調の原因が天気だと分かれば、症状が出る前に予防したり、症状に応じた対策を取ったりすることで、状態を改善し、自分でコントロールすることができるようになります。

 そのために必要なのは、自分の不調と天気の関係をきちんと知ることです。どんなときにどんな症状が出るのかを把握することから、始めてみていただきたいと思います。