「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・菱沼美咲)
Q. 少し無理をした振る舞いをするとき、意識すべきことは?
──私もジルさんと一緒で、「内向的」な性格です。しかし、無意識に「外向的」であろうと振る舞い、気づかないうちに疲れていることが多くあります。無理に外向的に振る舞おうとしてしまうとき、意識するとよいことはありますか?
思っているより、あっという間に疲れてしまう
ジル・チャン氏(以下、チャン氏) まずお伝えしたいのは、なにかの目標を達成するためのひとつの方法として「外向的に振る舞うこと」は、間違いではないということです。
外向的に振る舞うのは、おそらくその場で、周囲から外向的であることを期待されているからです。実際、外向的に振る舞ったほうがよりうまくいく場面も存在します。
ただ、注意してほしいことは、自分のエネルギーをどう管理するかということです。外向的に振る舞うことは、内向的な人にとってかなりのエネルギーが必要になります。本当にあっという間に疲れてしまうのです。
疲れてしまうと、物事が一気にはかどらなくなってしまいます。そうならないためにも、自分のエネルギーレベルが急速にゼロにならないよう、注意する必要があると思います。
「エネルギー残量」を意識して残しておく
チャン氏 そこで私がおすすめしたい方法は、自分のエネルギー量を意識することです。
外向的に振る舞わなければならない場面、たとえばプレゼンがあるのであれば、自分のエネルギー量を把握して、そのときまでエネルギーを残しておかなければなりません。よく知らない人と話すと疲れてしまうのであれば、本番まではどこか別室に隠れておくなど、工夫が必要です。
私自身、社交的な場面において、最初はエネルギーがたくさんあるので、外向的に振る舞うことができます。しかし、20~30分も経つといきなりバッテリー切れになって、うまく振る舞えなくなることがあります。
ですから、自分のエネルギー量と上手に付き合って、限界を超えないように調整しながら行動することが大事だと思います。
おすすめの「メンタル切り替え術」とは?
チャン氏 エネルギー量がもうゼロだとなったら、質の高い仕事はできません。
気力を見極めて、たしょう忙しくても、エネルギーが完全に切れてしまう前に、思い切って休息の時間を取ること。これが賢い切り替え術です。
内向型の人であれば、どこか一人になれるカフェなどの空間を探して、静かにエネルギーチャージするのがいいかもしれません。外向型の人なら、人と気軽なおしゃべりをしたりすることでチャージできるかもしれません。
いさぎよく切り替えて、しっかりと休息の時間を取ったほうが、パフォーマンスは上がるはずです。
※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。