ビール 最後のバブル#5Photo by Nami Shitamoto

ビールメーカーの中で独自の存在感を示しているのが、沖縄県に本社を置くオリオンビールだ。オリオンビールは酒販事業のほか、ホテル運営など観光事業も手掛けており、2024年6月には「都ホテルズ&リゾーツ」なども運営する近鉄グループホールディングスと資本・業務提携すると発表した。特集『ビール 最後のバブル』の#5では、村野一社長が四大メーカーとは異なるユニークなビール事業の戦略を解説。また、近鉄グループとの協業の真の狙いについても明かした。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

――アフターコロナで国内旅行、インバウンド共に観光需要が回復し、それに伴ってオリオンビールの業績も回復しました。

 2024年3月期の経常利益は前年比19%増の31億2100万円で、2年連続の増収増益となりました。新型コロナ禍が終息し、日常が戻ったことで、地元の量販店でのビールの販売数量や飲食店の業務用需要が回復し、さらに観光客が戻ってきたことで飲食店で業務用が大きく伸長しました。

――23年10月の酒税改正で、ビールの売り上げが伸長しています。競合各社が新ブランドを投入する動きがある中で、オリオンのスタンダードビール「オリオン ザ・ドラフト」の売り上げはどのように推移していますか。

 アフターコロナで県内での販売数量が伸びていますが、実は伸び率でいうと県外での販売数量の方が伸びています。ただ、まるっきりといえば失礼ですけど、基本的に他社の動きは意識していません。他の4社と比べる規模ではありませんし、われわれはそもそも同じところで勝負していません。五大ビールメーカーの端くれになるのではなく、全く違うユニークなポジションを築くことで、沖縄にもビール業界にも貢献できると思っています。

――酒税改正により、ビールが値下げに動く一方で、第三のビールは値上げとなりました。現在販売している、第三のビールの「麦職人」や「サザンスター」を終売し、スタンダードビールのオリオン ザ・ドラフトやクラフトビールの「75BEER」シリーズに集中する可能性はあるでしょうか。