官民協議会を設立したが
元徴用工側の立場に妥協の余地なし

 韓国政府は資産現金化の前に望ましい解決策を見いだすべく、外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官の主宰で、徴用工被害者団体、法律代理人、学界専門家、言論・経済界から12人が参加する官民協議会を設立し解決策の模索を始め、これまでに7月4日、14日の2回、会合を行った。

 この会合に参加した元徴用工側のチャン・ワンイク弁護士とイム・ジェソン弁護士、民族問題研究所対外協力室のキム・ヨンファン室長は、会議と記者会見の場で、「被害者と日本の加害企業と直接交渉することが道理にかなっている」とし「政府が外交的努力をしてほしい」と述べた。また、仮に政府が検討する代位弁済方式を取る場合には、少なくとも、基金に加害者である日本企業が参加することと謝罪を行うことが不可欠であると主張した。

 しかし、元徴用工側のかたくなな姿勢のため、朴振外相の訪日では具体的な成果は何もなく、現金化のタイムリミットが近づいてきた。このため外交部が取った措置が、大法院への意見書の提出であった。

 外交部は7月29日、「政府は(徴用工問題に関し)韓日両国の共同利益に合う合理的な解決策を模索するため、日本と外交協議を続けていて、官民協議会などを通じて原告側をはじめとする国内各界各層の意見を聞くなど多角的な外交努力を続けている」として、大法院の民事訴訟規則(国家機関は国益関連の事項に関して大法院に意見書を提出することができるとする規則)に基づき意見書を提出した。

外交部の意見書提出で
元徴用工団体が相次ぎ反発

 日本製鉄・三菱重工・不二越の3社を相手取って訴訟を提起してきた被害者支援団体は、外交部が大法院に対する意見書の提出によって信頼関係を壊したとして、官民協議会から離脱すると宣言した。

 この被害者支援団体は、外交部の意見書提出に「深く遺憾を表明する」とのコメントを発表。また、「官民協議会という公開的な手続きが進行しているにもかかわらず、その手続きで全く議論されなかったことはもちろん、被害者側に事前にいかなる議論や通知もなく意見書が提出された。外交部は既に提出された意見書でさえ被害者側に公開できないという立場を守っている」と非難した。