そして「被害者支援団体と代理人団は官民協議会に被害者側の立場を十分に伝達し、官民協議会からはその後実効的な意見も出てこないと判断し、外交部の意見書提出によって信頼が失われたことから官民協議会への不参加を通知する」と明らかにした。

 こうした中、ソウルと光州(クァンジュ)の元徴用工支援団体は緊急会合を行い、従来官民会議に参加していたソウルの支援団体も光州同様、不参加の方針を固めたという。これによって、元徴用工支援団体と外交部の対立は決定的となった。

日本政府は資産現金化に備え
具体的な報復措置を検討

 朴振外相は7月18日から20日まで訪日し、林芳正外相と会談、岸田文雄首相を表敬し、徴用工問題解決の取り組みを説明した。その際、朴振外相は、元徴用工の解決策づくりは韓国側が主導するにしても、日本側もやはり解決策をまとめるのにあたり韓国側の努力に応えてほしいと求めた。

 両外相は会談で「韓国裁判所が日本企業の韓国国内資産を現金化する最終結論を下す前に、どのような形態であれ解決策を出さなければならない」ということで認識を共有した。しかし、具体的な解決策に関する意見交換はなされなかったようである。

 日本側は「1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場を強調した。しかし、朴振外相は 会談後の韓国特派員との懇談で、「徴用工問題を解決するための韓国政府の努力に日本政府も誠意をもって対応する考えがあるようだ」と説明した。

 これはあまりにも楽観的な見方であるが、そういわざるを得なかった韓国政府の苦しい立場を反映したものであろう。日本側が「誠意をもって対応する考え」があることを踏まえて徴用工側を説得しようとしているのであろう。

 当然のことながら、日本側の会談の結果に関する受け止めは違った。

 自民党は7月21日、外交部会を開催した。この席に出席した佐藤正久部会長は「(現金化は)深刻な問題なので、(外務省が)具体的な対抗措置を考えている」という事実を明らかにしたという。

 また、産経新聞は、日本政府による対抗措置は抗議や遺憾などの言葉のレベルではないと報じている。

 朴振外相の訪日の結果を自民党に報告した外交部会で対抗措置について言及があったということは、徴用工問題に関する状況が切迫しているということである。