資金が郵送で届くことはあまりない。「フロート」とは銀行間を移動中で、受け手の口座に着金する前の資金を指す場合が多い。長期にわたり金融緩和と超低金利が続いていた間は、移動中の巨額資金はさして重視されなかった。だが米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治に動き、金利が上昇している今、そうした資金のほんの数パーセントが大きな収入を生むようになった。これが善かれあしかれ、企業と個人の状況を変えそうだ。銀行と証券会社は、投資家と預金者から集めた資金をできるだけ長く手元に置いて利ざやを稼ぐのが主な事業であり、フロートの価値の上昇に最も追い風を受けるとされる。著名投資家ウォーレン・バフェット氏は保険に進出した主な理由の一つに、資金を先に回収して後で支払うというビジネスモデルが投資に回せる大量のフロートを生み出す点を挙げた。銀行株は資本リスクや信用リスクが警戒されて低迷しているが、S&P500種指数を構成する保険銘柄は年初来で5%余り上昇し、相場全体の10 %安を大きくアウトパフォームしている。
金利上昇で注目の「フロート」 現金保有で収入稼ぐ
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