そんな中、20年4月以降、緊急事態宣言で外出自粛の日々となり、自宅の食事を簡便かつスタイリッシュにしたり、保存性が高いため備蓄できたりする食品として、そうした若い女性たちが飛びつき、最初のブームの発端が見られた。

 その後、緊急事態宣言が解除されてからも、外出が抑制され、巣ごもりの毎日の中で健康やダイエットを気にする若年層女性が増え、消費が加速していった。これが20年に起こったオートミール人気の主な背景だ。

 そして、21年になって次の購買層が加わってくる。それが40代、50代の中年女性層だ。大きな役割を果たしたのが先述のオートミールブームを報道したテレビ番組だ。SNSではオートミールの情報に接する機会が少なかった中年女性層も、彼女たちが接触しやすいテレビというメディアでその存在を知ることとなり、認知が広がった。

 こうしてユーザーが若年女性層と中年女性層に重層化された。さらに、ダイエットに取り組む女性の中で、オートミールを米の代わりに食べる、いわゆる“米化”の動きが活発化し、これらによって、21年はより市場が拡大したのだ。

 有望な市場には新旧のメーカーが入り乱れ、まさに群雄割拠の状態となっている。大手では既存の日本食品製造(日食)、日清シスコに加え、21年に日本ケロッグが新規参入を果たした。そんな中、22年4月、メーカーとして新たに名乗りを上げたのが、スナック菓子大手のカルビー(東京・千代田区)だ。同社は「ベイクドオーツ フルーツ」「ベイクドオーツ ナッツ&シード」の2種類を投入した。

カルビーがオートミール市場に参戦!「フルグラの大成功」再来なるか?長年、フルグラ(右)でシリアル市場をけん引してきたカルビーが、ベイクドオーツ(左)で新たにオートミール市場に挑む

 ただ、カルビーの製品は従来のオートミールとは違っていた。従来品は原料となるオーツ麦を脱穀して蒸してから、ローラーで平たくフレーク状にしたり、細かくカットしたりするなど簡単な加工をしているだけのものが大半。対するカルビーは「焼き上げる」という全く異なる工程を加えているのだ。カルビーは原料であるオーツ麦をなぜ焼いたのか。