「資産所得倍増計画」で
NISAはどう変わる?

 さて、長期的に株式投資を考える投資家にとっては、長期投資に関わる制度上の変化が気になるところだ。岸田文雄首相が「資産所得倍増計画」を口にしてから3カ月近くが経過しており、そろそろ具体案な動きが出る頃合いだ。

 これまでのところ、「新しい資本主義実現会議」の会議資料などを通じて、NISA(少額投資非課税制度)でかなり大きな変化(「抜本的な改革」という強い記述がある)がありそうだと推測できるにとどまっている。

 NISAの制度改革の具体像については、所管の金融庁が税制改正要望の形で発表することで概要が明らかになることが予想される。先行して報道では、2023年度の税制改正要望にNISAの年間投資枠の上限引き上げや、投資期間の恒久化などが盛り込まれると取り沙汰されてはいる。しかし、与党の税制調査会をはじめとする「税の世界の住人」がこれにどう反応するかを待たないと、何が実現するのかについて確たるイメージを持つことができない。

 今のところ、NISAの非課税運用可能枠が金額として拡大することはほぼ間違いないだろう。そうしなければ、「資産所得倍増」と関連付けることは無理だ。首相が明言した方針に対する具体案で、数字的にゼロ回答ということはあるまい。

 ただし、税制優遇の大きさに関する「数字」は、税の世界ではぎりぎりまで交渉対象になる部分なので、決定は年末近くにずれ込むだろう。

 アンケートを採ると、利用枠の拡大の他に要望が多いのは、「非課税期間の延長」と「NISA制度の恒久化」だが、果たしてこれらに踏み込むことがどれくらいできるだろうか。

 現在の検討の流れだと、24年からの導入が予定されている通称「新NISA」は、これから検討のテーブルに載る「新しい資本主義のNISA」に取って代わられて、日の目を見ない公算が大きい。

 投資家としては、NISAの利用可能枠が大きく拡大することを願いつつ、「期限延長」「恒久化」などに期待をつなごう。一方、投資対象のスイッチングを認めることや、投資対象商品を見直すといった使い勝手の改善にも期待したい。