国産半導体で、米国の制裁を受ける前の状態に持ち直す予定だった

 ファーウェイは国産半導体の進歩によって、2025年には、その売り上げは米国の制裁を受ける前と同じくらいに持ち直すという予測を立てていた。経済メディア「財新網」の報道によると、今年第2四半期には米国制裁以降初めて売り上げのマイナス成長が止まり、前年同期比1.43%増とわずかながらもプラスに転じたことを発表したばかり。ただし上半期の利益は同34.65%減で、そこに任氏が冒頭のような指針でその見解を発表したのである。

 その言葉は、消費意欲の減退、そして政府の号令や規制緩和にもかかわらず消費に結びつかない不動産業界をはじめ、市場の現実を日々目の当たりにしているビジネスマンにとって実感のこもった言葉だった。

 それらを前提に、任氏は厳しい指針を打ち出した。

《全社で予算を効果的に使う必要がある。盲目的にすべてのプロジェクトを閉鎖してはならないが、マンパワーを節約して前線に押し出し、政府関連ビジネスの最適化を続け、人員やICTインフラを合理的に編成していく。また我々の根幹事業を、競争力を持った複雑なハードウエアプラットフォームと複雑なソフトウエアプラットフォームへと縮小し、そこにぶら下がっているプロジェクトをすべて洗い出す必要がある。(ファーウェイ)軍団は基礎情報プラットフォームを構築し、さらにICTの販売に力を入れる。インフラストラクチャーの秘訣(ひけつ)はエコロジーではなく、我々が将来台頭するための基礎はターミナルだ。ただし、やみくもにそれを行うのではなく、今は戦線を縮小し、兵力を集中させ殲滅(せんめつ)戦に挑み、利益を上げていかなければならない》

 政府関連ビジネスについても見直しを行うことに触れたのは、中国企業としては確かに珍しい。「エコロジーではなくターミナル」とは、外向けの事業を切って中に集中するという意味である。さらに任氏は、「世の中のすべてを握ろうとするな。できないことは放っておけ。他社にやらせればよい」とする姿勢を打ち出した。