社員一人ひとりに「寒気」を感じてもらう

 任氏はさらに、海外要員を国内に呼び戻し、国内で活用していくことを具体的に打ち出した。つまり拠点の縮小など海外事業においても再編を図るつもりということだ。

 同時に「寒気を一人ひとりに感じてもらう」ため、その雇用条件についても厳しい管理・監督を行っていくとする。まず、キャッシュフローと利益向上を労働評価に組み込み、功績があったと認められた者には直接ボーナスをかさ上げする。その一方で賃金体系と昇進・昇給システムは変えないまま、もし「寒気」を感じていないと思われる者には、「かぶっている布団を少しずつ薄くする」とまで述べている。

《今、我々は生き残るときだ、理想のために奮闘するときではない。軍団の競争は年末のボーナスという形で表される。ボーナスは会社が支給するものではなく、軍団が自ら稼いだ利益であり、その一部が会社に還元される。もし、賃金分を稼げなければ我々はボーナスを支給しないこともあり得る。職員の基本給は生活消費のためであり、確保される。もちろん、短期間内に価値を生み出せない戦略的ビジネスに対しては、評定で判断を行う。しかし、業績が上がらない底辺事業は切り捨てなければならない。そうやって調整と統合、強化を行い、改善を求めていく》

 ここで彼は、「生き延びて、稼げるところがあればそこで稼ぐ」「遠い、偉大な理想を抱いてはならない」「幻想を抱くな」などと、繰り返しはっぱをかけている。